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主張

2018年9月15日

大阪北部地震を受けて―原発銀座・若狭湾の危険性を改めて考える

 6月18日の大阪・高槻市を震源とするマグニチュード6の地震により、大阪北部を中心に鉄道、道路などのインフラが停止して大きな混乱が発生した。幸い一両日で都市機能は回復したが、深刻な家屋の破壊が数百件余り認められ地震の破壊力を改めて認識した。ところでこのような地震が福井にある13基の原発と「もんじゅ」を抱える若狭湾周辺で発生したら我々は安閑としていられたであろうか。

福島の教訓
 7年前に起きた福島第一原発事故(レベル7)の記憶はまだ生々しい。地震による振動と津波による電源喪失によりメルトダウンが起きて多大な放射能が周辺に拡散し、現地周辺の住民約16万人以上が緊急避難した。その当時の避難計画は杜撰で病院や老健施設などに取り残された患者・高齢者が避難前後に多数亡くなっている。

防災計画と避難
 福島の教訓から原子力規制委員会は原子力対策指針に「重点的に防災対策を進める地域」として「30km」圏を定め、さらに一週間以内に避難すべき放射能レベルを20マイクロシーベルト/時とした。しかし、実際は風向きにより放射能ブルームが強く拡散した飯舘村は50km圏であり、さらに国際的に安全な放射能レベルは約0.15マイクロシーベルト/時である。

福井の原発で事故が発生した時の対応
 滋賀県が大飯原発に関して行ったシミュレーションでは「30km」圏の対象人口は約16万人で避難時間は少なくとも数日間を必要とする。恐らく幹線道路が少ないため数日をかけて近隣に避難し、混乱の中でそれぞれの役場、学校の公営施設ならびに医療機関に収容されるであろうが、安定ヨウ素剤配布をはじめ初期対応は未整備である。

医師として考えるべきこと
 奈良県の医療機関で行われている福島原発事故の避難者健診の経験から、避難家族においては子供の被爆による異常を心配する母親の心理的負担が大きく、一般的な診察および健診だけでなく心理面でのサポートも必要である。
 日本全国に万遍なく50余りの原発がある。稼働していないにかかわらず、使用済み核燃料は全国の発電所の敷地内にあるプールに約1万3千トンが貯蔵されている。常に水冷却しなければならないため、今回の高槻レベルの地震ですら福島並みの事故が起きる可能性がある。原発事故による被曝に対して、医療は無力である。いくら綿密な避難計画を作ってもいったんばら撒かれた放射性物質は回収できない。即刻廃炉にすべく医師は訴えなければならない。

【奈良保険医新聞第432号(2018年9月15日発行)より】

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