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主張

2018年10月15日

憲法25条を守りいかす社会保障への転換を―健康で文化的な最低限度の生活ができる社会に

 本年8月から介護保険の新たな負担増が始まり、一定額以上の所得のある人の介護サービス利用料の本人負担が2割から3割に引き上げられた。70歳以上の高額療養費制度も改定され、外来の上限が一般所得者で14,000円から18,000円に引き上げられた。また75歳以上の窓口負担を2割に引き上げる議論もされている。経済的に介護サービスをあきらめ、医療機関への受診を断念する人がさらに増える恐れがある。必要な受診を抑制し、結果的に病気の進行を許し、重篤な結果を招いているとの調査報告もある。政府は持続可能な社会保障制度のために受給者の負担増は必要だと言うが、果たしてそうだろうか。日本の財政赤字は深刻で、社会保障費を削減しなければ財政破綻を招く、と思い込まされている。

 しかし1,000兆円といわれる財政赤字はあくまでも政府の借金でしかない。個人資産はその額を大きく上回る1,800兆円あるといわれている。財政赤字が野放図に増え続けることには問題があるにせよ、財政赤字が巨額であることが日本という国の破綻に直接繋がらないことを明確にすべきである。いま政府がとるべき策は限界を迎え、出口の見えないアベノミクスと銘打つ金融政策を続けることではない。将来への不安から支出されない国民の持つ金融資産を、安心して暮らせるような社会に変えることで、消費を促し、景気の回復を図ることではないだろうか。更には消費税の増税ではなく、内部留保金をため込んだ大企業からの正当な税徴収や、一部の大金持が優遇されている所得税、配当課税の強化が必要である。

 また北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するとして導入されようとするイージス・アショアなどの軍備拡大はどうだろう。当初の予算を大幅に超える6,000億円とも言われる兵器が米朝会談後の北朝鮮を取り巻く情勢変化にもかかわらず導入されようとしている。ロシアからも反対の声が上がり、地域の緊張を逆に高める恐れすらある軍拡である。あるいは3兆円の財政投融資を決めたリニア新幹線である。公共事業としての優先度やその額など十分な議論がされたのかも疑問である。それらの財政支出を見直すだけでも社会保障の充実は可能である。ところが安倍政権は大企業優遇による法人税の減収を消費税で補い、デフレ脱却に失敗し、社会保障の縮減に突き進んでいる。

 保険医協会は医療の問題だけを扱えば良いという意見も聞く。しかしながら医療を含む社会保障制度の改善には国の原理を変えていく必要があるのではなかろうか。今の安倍政権にそれを期待できるのか、まさにその点が問われている。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利と、国に社会保障の向上を求める憲法25条の実現を求めようではないか。国民のさらなる負担増を撤回し、国の社会保障政策の転換を今こそ求める。

【奈良保険医新聞第433号(2018年10月15日発行)より】

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